大腸内視鏡検査でわかる病気

大腸がん

大腸がん動物性脂肪の過剰摂取や、食物繊維の摂取不足など、食生活の欧米化によって日本人の大腸がんは増え続けています。2014年に行われた調査では、大腸がんが女性のがん死亡原因の第1位であり、男性の死亡原因でも第3位でした。さらに、2020年には男女ともにがん死因の第1位になると見られています。
大腸がんは早期発見と適切な治療で完治が望める病気です。さらに大腸ポリープがやがてがん化するケースが多いため、ポリープの段階で内視鏡的に切除してしまえば大腸がん予防になります。早期であれば治しやすいがんであり、予防も可能なのに大腸がんで亡くなる方がこれほど多い理由は、かなり進行してしまうまで自覚症状がほとんどないこと、そして一般的に行われている便潜血検査はかなり進行した大腸がんでも見逃してしまう可能性があることがあげられます。便潜血検査陰性でも大腸がんではないとは言えませんし、陽性の場合もがん以外の疾患が原因となっているケースが多いなど精度が実は低いのです。
早期の大腸がんを見つけるためには、定期的な内視鏡検査が不可欠です。大腸内視鏡検査では粘膜を直接観察できるため、早期の大腸がんやポリープを見つけることができます。さらに、内視鏡検査で大腸がんや前がん病変であるポリープを発見したら、その場で切除することも可能です。
便潜血検査で陰性だと安心してしまうと、大腸がんやポリープの発生を見逃してしまうことになる可能性がありますので、大腸がんリスクの上昇する40歳を越えたら、一度、大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。

早期大腸がん

粘膜にできた初期の大腸がんです。この段階であれば、内視鏡で切除可能ですし、完治も見込めます。

進行大腸がん

粘膜より深い部分にがんが侵入した状態で、リンパ節やほかの臓器への転移を起こす可能性があります。


大腸ポリープ(大腸腺腫)

良性の大腸腺腫です。ただし放置してポリープが大きくなってしまうとがん化してくる可能性が高くなっていきます。そのため、内視鏡検査時に発見したポリープを切除することで、大腸がん予防につながります。


大腸脂肪腫

消化管腫瘍の中で脂肪腫はあまり多くなく、発生頻度は約3%とされています。定期的な観察を行う必要があります。

直腸カルチノイド

消化管腫瘍でも珍しいもので、10mm未満の場合には転移の心配がほとんどありませんが、それ以上の大きさになるとリンパ節や肝臓への転移を起こしやすくなるとされており、腫瘍の大きさで良性と悪性に分かれるため、治療方法も大きさによって変わってきます。「カルチノイド」は「がんのようなもの」という意味ですが、がんの1種と考えてしっかり検査と治療を受けるようにしてください。

大腸憩室症

憩室は袋状に飛び出たもので、大腸憩室は内視鏡で観察するとへこんだくぼみとして見えます。憩室ができてしまうと自然に消えることはありません。
約10%の方にあるとされており、内視鏡検査を行うとかなりの頻度で発見できます。動物性脂肪や加工肉の過剰摂取、食物繊維の摂取減少などによって、日本人にも増えてきています。
憩室自体は症状を起こしませんが、まれに憩室炎や憩室出血を起こすことがあり、憩室があるとポリープもできやすい傾向があります。憩室炎では痛みが、憩室出血では下血といった症状が現れます。
生活習慣や食生活の改善により、憩室が増えるのを予防することが重要です。


潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる慢性的な炎症です。国の難病疾患である「特定疾患」に分類されており、患者登録者数は約16~17万人と報告されています。患者数が増加傾向を示しており、発症年齢のピークは20歳代とわかいことが特徴ですが、高齢者の発症がないわけではありません。
慢性の下痢や下血、腹痛などの症状が慢性的に続くため、消化器専門医による適切な治療がとても重要になってきます。
原因はまだはっきりわかっていませんが、腸内細菌、自己免疫反応、動物性脂肪や加工肉の過剰摂取などが関わっていると考えられており、効果的な治療も登場してきています。炎症をうまくコントロールできずにいると、大腸粘膜が継続的なダメージを受け、大腸がん発症につながる可能性も指摘されているため、下痢が続く・下血があるといった症状があったら、専門医を受診してください。


直腸潰瘍

直腸下部の浅い位置に発生する潰瘍です。潰瘍から出血を起こすことがあり、大量出血を起こすケースもまれに存在しますがほとんどの場合には自覚症状が現れません。原因はまだわかっていませんが、発生頻度が高いのはご高齢の方や栄養が不足している方だとされています。

大腸メラノーシス

大腸粘膜が黒っぽく色素沈着している状態です。ほとんどの場合、センナや大黄が含まれた便秘薬の常用によって起こります。自覚症状はなく、大腸内視鏡検査ではじめて発見できます。こうした便秘薬は強い刺激を大腸に与えます。その刺激に繰り返しさらされると大腸が刺激に鈍くなってしまうため、効果はどんどん落ちていきます。そのため、大腸メラノーシスがあった場合には、便秘薬の見直しが重要になってきます。


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